「日輪の遺産」

浅田次郎初期の作品。
プリンズンホテル執筆中の作品で、いわゆる極道小説路線から別路線への挑戦となる作品。この路線上に「地下鉄に乗って」、「蒼穹の昴」が乗ってきます。

「蒼穹の昴」を先に読んでいるので個人的には氏のルーツを感じるとても落ち着く作品でした。

時代は終戦間際、マッカーサーの秘宝をめぐる一連の日米の工作に巻き込まれる人々の運命を描いた作品・・あっさり紹介するならこういう感じでしょうか。
先日「大いなる陰謀」の感想を書いた記事でも触れましたが、僕が意識している64年前の事実、まさにその惨劇について疑問を投げかける意も込められているのではないかと感じました。

 みんな、いっしょに死のう。
 みんなで鬼となって、この宝物をまもろう。

13歳の少女のこの魂の叫びは「七生報国」の精神。良いか悪いかではなく、そうだったんです。
そして、マッカーサーが、真柴老人が、丹羽明人が、僕が居るんですね・・

人には知らなくてはいけないことが沢山あると思います。そのなかでも特に大切なことってやっぱりあると思うんです。そういう大切な魂の叫びを一つでも多く聴き、知り、生きていきたいと思って日々を暮らしていますが、この作品はそんな一つの叫びを語ってくれたのかな?とも思えました。

浅田次郎作品の中でも、特に大好きな時代を前後する作品であったこと、そして、プリズンホテルの路線と違うもう一方の浅田次郎作品の起点としてこの作品はとても印象に残る作品でした。


次は昔随分読みましたが最近読んでない村上春樹に行ってみようと思います♪

この記事へのコメント

てっちゃん
2009年04月16日 08:43
おお、読まれましたか。


現代と過去を織り交ぜながら「なぜそんな事をするのか?」の真実を
ドラマチックに展開していく終盤がとても面白かったです。

登場人物のキャラクターが確立されているので、企業ヤクザにしか
見えなかったあのオッサンがラストになると素晴らしい人物に見えて
しまいました(w


個人的には資金繰りに困っていた「不動産屋の社長」と、酒を呑み
ながら静かに息絶えた「少尉」が好きです。
2009年04月16日 11:30
>てっちゃん

「蒼穹の昴」を先に読んでるのでまた一風変わった感覚で読めました。なんだか原点回帰のような。(笑)

丹羽さんなかなか良い味出してますよね。キャラクターをしっかり立てておきながら画一的な性格描写だけじゃないところが浅田作品の魅力の一つでもありますね♪
真柴少佐と真柴老人もしかり、一人の人物に様々な性格が複雑に織り込まれているのが面白いです。
でも・・なんで真柴老人は手帳をあの二人に渡したんでしょうか。それなりの理由は付けられるにせよ、確信たる理由に至りません。それはそれで余韻として良いんですが、ちょっと気になります。(^_^;)